FTPでダウンロード時にファイルが重複するため上書きしますか?と表示される問題
2017/03/11
FTPダウンロード時にファイルが重複する
「ファイルをダウンロードすると『重複するので上書きしますか?』といわれる問題」って何?
例えば、WordPressで運用しているサイトをバックアップしようと、FTPツールで、ファイルをダウンロードしようとしたときに、
「指定されたディレクトリにはすでに「******」が存在します。
上書きするか、このファイルの転送をスキップするか選択してください。」
といったメッセージが出ることがあります。
下記画像は、WinSCPという FTPクライアントツールを利用してファイルをダウンロード使用したときに表示される画面です。
これの原因とこれによって発生する問題点について改めて確認をしてみました。
「ファイルをダウンロードすると『重複するので上書きしますか?』といわれる問題」の原因
「ファイルをダウンロードすると『重複するので上書きしますか?』といわれる問題」が発生する原因は、Linuxと Windows、MacOSとのファイルの管理システムが違うためです。
具体的には、Linuxは、大文字小文字を別の文字として認識しますが、Windows、MacOSでは大文字小文字を区別せず同じ文字として認識するためです。
(Windows、MacOSは、大文字小文字を利用してファイル名を付けると、表示上は大文字小文字の区別をつけることができますが、大文字小文字が違うだけでは同じファイルとして認識します。)
具体的には、abc.gif、Abc.gif、ABC.gif というファイルがあったとします。
Linuxでは、別のファイルとして認識しますので、同じフォルダの中に置くことができます。
ですが、
Windows、MacOSでは、同じファイルとして認識しますので、同じフォルダの中に置くことができません。
そのため、ダウンロードしようとすると、上書きしますか?と聞かれることになるわけです。
Linuxとは?
一般的にパソコンといえば、OSは、Windowsか、MacOSかのいずれかになります。
これに対して、Webサイトなどを構築するサーバシステムの OSには、UNIX系の Linuxといわれる OSが使われています。
Linuxは、フリーのオープンソースであることや、カスタマイズが可能なことなどいろいろなメリットがあるため、さまざまな用途のシステムに利用されていますが、その代表的な用途の一つが Webサイトを構築する Webサーバの OSとしての利用になります。
一般的なレンタルサーバの OSには Linuxが使われていると考えておいて間違いないでしょう。
「ファイルをダウンロードすると『重複するので上書きしますか?』といわれる問題」の影響
先に説明しましたが、abc.gif、Abc.gif、ABC.gif のように、大文字小文字が混ざったファイルをダウンロードしようとすると、「重複するので上書きしますか?」と訊かれてしまいます。
これを上書きしてしまうと、具体的にどのような影響があるかを確認しましょう。
かなり省略していますが、下記のように、「abc.gif、Abc.gif、ABC.gif」の画像ファイルを imgタグで編集をします。
1 2 3 4 5 6 7 |
<html> <body> <img src="ABC.gif"><br> <img src="Abc.gif"><br> <img src="abc.gif"><br> </body> </html> |
画像ファイルは、Windowsと MacOSの場合は、大文字小文字の区別がありませんので、「abc.gif」のみを置きます。
そして、これをブラウザで表示させると、何も問題なくすべての画像が表示されます。
HTML上では 大文字小文字を区別して記述しているものの、それの対応を行う OS側が大文字小文字を区別しないため、問題なく表示される、ということです。
(XAMPP経由であっても直接ファイルをブラウザで表示しても同様です。)
対して、Linuxの環境では、abc.gif、Abc.gifのファイルを置いて、ABC.gifはない状態にしてみました。
そして、ブラウザで表示させると、下記のようにファイルがない「ABC.gif」は表示されませんでした。
これがまさに、Linuxが、大文字小文字を区別するために発生する現象です。
つまりは、大文字小文字を区別してサイトを構築した場合は、Webサーバから FTPでファイルをダウンロードをする際に、「重複するので上書きしますか?」と訊かれ、上書きしてダウンロードすると、大文字小文字が統一された 1ファイルになってしまいます。
そして、その状態から改めて FTPで Webサーバにファイルをアップロードすると、大文字小文字が区別されたファイルがなくなっているため、ファイルのリンクが切れた状態になってしまいます。
Windowsや MacOSのパソコンで静的な HTMLファイルを生成する作り方の場合は、そもそも大文字小文字を区別して作成することができませんので、この問題は起こりません。
ですが、WordPressのようにファイルをアップロードする機能を有した CMSを利用する場合、アップロードされたファイルが格納される場所は一つの同じフォルダになる場合が多々ありますので、大文字小文字を気にせずに付けていると、一つのフォルダの中に大文字小文字が違うだけの同じファイル名のファイルが存在することになってしまいます。
「ファイルをダウンロードすると『重複するので上書きしますか?』といわれる問題」の対応方法
「重複するので上書きしますか?」と訊かれる問題に対しての解決方法は以下のようなものがあります。
- 大文字小文字を統一する(基本的にファイル名は小文字で付ける)
- パソコンの環境を Linuxにする
- サーバ上で zip圧縮し、パソコン上では展開(解凍)しない
「解決方法は以下のようなものがあります」と書いたものの、実質的には 1つ目の「大文字小文字を統一する(基本的にファイル名は小文字で付ける)」しかないんですよね。
Windowsでも MacOSでも大文字小文字を区別してファイル名を付けることは可能ですが、ファイル名のアルファベットを付ける場合は「すべて小文字!」と決めてしまうことですね。
会社などであっても社内全体で「すべて小文字!」と決めてしまうしかないですね。
そして、今回問題になったように大文字小文字が混在することでファイルが重複した場合は、一つ一つアナログ的に修正していくしか方法がないですね。
(何か便利なツールをご存知の方は教えてください!!!)
もし、対象のサーバが sshが使えて、コマンドラインでの操作ができる方ならば、3項目のサーバ上で zip圧縮し、それをそのまま新しいサーバに移動させて展開するという方法が取れます。
詳しいやり方は、割愛します。
sshが使えるくらいの方ならば詳しい説明は必要なく、詳しい説明が必要な方はここではとても書ききれませんので...
ファイル名が文字化けを起こしてダウンロードできない
ファイルが重複する問題については前項までで終了ですが、ファイルをダウンロードするときに発生する問題として、ファイル名が文字化けをしていることが原因でダウンロードできない、という問題が発生する場合もあります。
これは、ファイル名に日本語を使っている(半角英数字以外の文字を使っている)場合に発生します。
日本語(全角文字、2バイト文字)は、日本語を表示するために Shift-Jis、UTF-8などの文字コードを指定する必要があるのですが、この文字コードが違う場合に文字化けを起こします。
Webサイトを構築する場合に日本語のファイル名を使うことはほぼありませんが、WordPressなどで記事を投稿する際に利用する画像の場合は、ついつい日本語のファイル名まま使用してしまう場合が少なくありません。
WordPressなどの CMSをそのまま利用する場合は問題になりませんが、この記事で紹介しているファイルをダウンロードしてくる場合に問題が発生します。
そのため、アップロードする画像のファイル名は半角英数字を使って付ける方がトラブルは少なくなります。
GoogleAdwords
GoogleAdwords
この記事が参考になったと思いましたらソーシャルメディアで共有していただけると嬉しいです!
関連記事
-
SyntaxHighlighterを導入してソースコードを見やすくしてみました
PHP、HTMLなどのソースコードをブログで紹介するとき、SyntaxHighlighterを利用することで見やすく提供することが出来ます。
-
.htaccessのmod_expiresでブラウザキャッシュで高速化でSEO対策!
Page Speed Insightsの指摘事項のファイルのブラウザキャッシュの設定方法。解説もしてるけど、.htaccessにコピペするだけの簡単設置で効果抜群!SEOにも威力を発揮!
-
EストアのショップサーブのWordPressサービスにメリット無し
ショップサーブのオプションサービスのWordPressを使ってみましたがデータベースには直接触れず使えないサービスでした。
-
mod_pagespeedカスタマイズで高速化を詳細解説・Google謹製
mod_pagespeedをデフォルトのまま使っていませんか?mod_pagespeedはデフォルトのままでも速い!でも仕組みを理解し設定し直せばより速くなる!
-
Selenium WebDriver、Pythonをインストールし Chromeの自動操作の環境構築手順のまとめ
Selenium WebDriverを使ってChromeを自動操作する環境を構築する手順のまとめ。使用するPythonのインストールから、サンプルスクリプトの動作確認までを詳細解説。
-
Selenium WebDriver、Pythonをインストールしブラウザ自動操作の環境構築手順のまとめ
ブラウザを自動操作しテストを実行するロボットをselenium WebDriver+Pythonの環境を構築し、動作確認までの手順のまとめ。初心者向けに詳細解説。サンプルソースも。
-
PythonでUTF-8など日本語(全角文字)を使う方法。コメントにも必要。
Pythonの標準では日本語(全角文字)を利用できないので、利用する際は文字コードを宣言する必要がある。「# coding: utf-8」の様に記述すればOK。
-
mod_pagespeedでWebサイトを超簡単高速化・Google謹製の最終兵器
Webサイトの表示スピード高速化の最終兵器、Google謹製mod_pagespeedの解説です。レンタルサーバではX-Serverでしか利用できませんが、ワンクリックで高速化します。
-
Webサイト公開時に重複コンテンツを排除する.htaccessのリダイレクトの設定のまとめ
サイトを公開する際にはURLの正規化は必須です。正規化とは何かを解説し、.htaccessに設定すべきリダイレクトの設定を具体的に説明します。
-
さくらサーバのmb_send_mailでメール送信時にmalformed header from script ‘xxx.php’: Bad header: xxxのエラーが
さくらインターネットのレンタルサーバからPHPのmb_send_mail()関数を利用してメールを送信するとInternal Server Errorが発生。その原因は、メールアドレスが登録されていないこと。