借りてはいけないレンタルサーバ実例4社・アルファメール・WEBアリーナ
2017/03/09
借り手はいけないレンタルサーバ
レンタルサーバを借りるなら本業がレンタルサーバ屋がいい
「実測比較・レンタルサーバスピード選手権!WordPressが速いのは?」でレンタルサーバのスピードチェックを行いました。
このスピードチェックでリストアップしたレンタルサーバは、本業がサーバ事業である事業者が行っているレンタルサーバ事業ですので、サーバの仕様はしっかりと考えられた構成になっています。
当たり前ですが。
基本仕様がしっかりしている上で、コストパフォーマンスがいい、速いサーバはどれか、というのが比較対象だったわけですので、リストアップしたサーバは基本的にどれを借りても問題ありません。
トップクラスのサービスの中でスピードという指標で比較したというお話です。
基本仕様がしっかりしているとは?
ここでいう
「基本仕様がしっかり」
というのは、
問題なく Webサイト・Webサービスを構築することができる
ということで、より具体的には
- Webサイト構築作業を効率よく作業ができる
- .htaccessなどを利用して柔軟な設定変更ができる
- セキュリティポリシーがしっかりしている
- サポートがしっかりしている
といったことがあります。
その他、Web制作でよく使われる
- WordPressを特別な対応をすることなく使える
- ECCUBEを特別な対応をすることなく使える
といったような、WordPressなどのアプリを利用したり、Webシステムを開発して Webサービスを提供するサーバとして利用することが問題ない仕様のサーバ、という感じです。
借りてはいけないレンタルサーバとは?
当たり前と言えば当たり前なんですが、こういう表現をするということは、当たり前じゃないレンタルサーバもあるわけです。
というわけで、この記事では「借りてはいけないレンタルサーバ」の例を挙げてご紹介します。
とはいえ、無数にあるレンタルサーバ会社を一つ一つチェックしたのではなく、私が実際に業務で利用し、残念なサーバだなぁと感じたサーバのご紹介です。
また、ご紹介するのはそこそこ名の通った企業が提供しているレンタルサーバです。
クライアントが契約していたサーバでしたので、それを使わざるを得なかったわけですが、こちらからサーバを提案していいとなった場合には“絶対に”選択肢にしないサーバですね。
概して言えることは、
本業がサーバ事業ではない会社が、サービスの一環としてサーバサービスを提供しているサーバサービスは残念な場合が多い
ということですね。
本業ではないので、
- 技術的にも一歩足りない感じがする
- 事業者本位のサービスとなりがちでユーザ視点が欠けている
- サポート体制が十分ではない
などが感じられてしまいます。
技術力がないからなのか、.htaccessや MySQLなどに絡む設定や機能の制限が厳しく Webサービスの構築、運用をするのに支障がある場合もあります。
また、サーバサービスは OEMなどで他社から提供を受けているなどで自社でサービスを構築していないんだろうなぁ、と思えるサービスもありますね。
さっそく具体的なサーバサービスを見ていきましょう。
大塚商会・たよれーるのレンタルサーバ・アルファメール
第 1段は大塚商会のレンタルサーバ、アルファメールです。
http://www.alpha-web.jp/
大塚商会の「たよれーる」は、ネット接続プロバイダサービスや、サーバサービス、業務支援システムなど、IT関連を幅広く支援するサービスです。
サブディレクトリ型共有 SSLは情報漏えいの恐れが
大塚商会のアルファメールが残念なのは、いまだに「共有 SSLがサブディレクトリ型」という点です。
http://www.alpha-web.jp/service/hosting/premier/service/ssl.htm
下記の記事にあるように 2010年ごろにはすでに徐々に認知されてきたセキュリティホールなのですが、そのセキュリティホールにいまだに対応をしていないところです。
共用SSLサーバの危険性が理解されていない
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20100501.html
簡単に説明すると、下記のようなサブディレクトリ型の共有 SSLは、同じ共有 SSLを使っている他のユーザの情報に情報が漏れる可能性がある、というものです。
https://example.com/{任意}
そのため、現在はほとんどのレンタルサーバは下記のようなサブドメイン型に変わっています。
https://{任意}.example.com
これだけであれば共有 SSLを使わなければいいだけじゃないか、という声もあるかと思いますが、サブディレクトリ型の共有 SSLにはリスクがあるということに対して
- リスクを理解していない
- リスクを理解しているが技術が追い付いていない
- リスクを理解しているが対応のコストがかけられない
- ターゲット層はそんなこと気にしないとタカをくくっている
といったことなんじゃないかと考えられます。
いずれにしても利用するサーバ会社として選択するべきではありませんね。
MySQL、phpMyAdmin、PHPのバージョンが古い
http://www.alpha-web.jp/service/hosting/alphamail/service/database.htm
http://www.alpha-web.jp/service/hosting/alphamail/service/script.htm
また、上記のページは、MySQL、PHPに関する情報のページですが、MySQL、phpMyAdminのバージョンのリリース時期は下記になります。
MySQLは 5.1.47(2008年リリース)
phpMyAdminは 4.0.5(2013.08.04リリース)
PHPのページには「2010年11月 現在」と書いてあり、それ以降このページの情報の更新はしていませんということでしょうか。
その他の残念ポイント
その他、実際に利用して残念なポイントとしては以下になります。
データベースの名称に「-(ハイフン)」「_(アンダースコア)」が使えませんので、複数単語をつなげるデータベース名が非常に見にくくなります。
サブドメインの設定は、メインドメインのドキュメントルート内にサブフォルダを作成し、そのフォルダを指定する方式で、サブドメインでもサブフォルダでも両方でアクセスができます。
この方式はエックスサーバなどでも採用している方式ですが、大塚商会のサイトにはサブフォルダでのアクセスを禁止にする方法についての解説はありません。
※エックスサーバは、現時点でこのブログを運営しているサーバ会社で、詳細は「実測比較・レンタルサーバスピード選手権!WordPressが速いのは?」を参照してください。
大塚商会は、営業が強い会社であることに残念さの本質があるように思います。
それが悪いとは言いませんが、サーバ事業は売り切りではなく、契約した時点からサービスが始まるということを営業もしっかり理解しておくことが大事なポイントですね。
よくある話ですが、営業と技術者の言うことが違うことがあるわけです。
レンタルサーバであれば他サービスに乗り換えるのは若干のコストで対応は可能なのですが、大塚商会さんに社内のインフラの構築をお願いしてたというクライアントから相談を受けたこともありました。
また、さらに別のクライアントさんでは、契約内容は把握していませんので原因は不明ですが、Google Analyticsの生データの提供を受けられないと困っている事例もありました。
NTTPCコミュニケーションズ・レンタルサーバサービス・WebARENA
2つ目は、NTT PCコミュニケーションズのレンタルサーバ、WebARENAです。
http://web.arena.ne.jp/
NTT PCコミュニケーションズは、NTTコミュニケーションズの子会社で、プロバイダー事業やMVNO(仮想移動体通信事業者)などを行っている企業です。
ハードウェアが貧弱
NTTという名前が入っていますので、ブランドに安心して契約する方が多いようですが、ハードウェアが貧弱でコストパフォーマンスが残念ですね。
標準で利用できるデータベースは 3個まで。
データベース 1個当たりの容量上限が 100MB。
標準のデータベースは localhost。
スタンダードプランは月額 1,470円(税込)ですが、上記のデータベースの制限がなくなる「高機能データベース」を利用するためには月額 2,100(税込)が必要です。
WordPressで 20ページくらいのコーポレートサイトを構築するなら問題ありませんが、ビジネスに利用する Webサービスを提供するには高機能データベースが必要になります。月額 3,500を払うなら他の選択肢がいろいろあるでしょう。
また、サーバのスペックも残念な感じです。
とある Webサービスを構築する案件で、約 35,000件で 20MBほどになる CSVファイルをダウンロードする処理を作成しました。
開発環境はヘテムルで構築し、その後本番の Webアリーナに移したのですが、ヘテムルサーバでは何の問題もない処理が、Webアリーナではメモリが足りずに 7,000件程度しか処理ができない状況が発生したのです。
※ヘテムルについては「実測比較・レンタルサーバスピード選手権!WordPressが速いのは?」を参照してください。
利用していたデータベースは高機能データベースで、データベースから全件のデータを取得はできていたようなのですが、その後 CSVファイルのレイアウトを整え、ファイルに出力するところで正常に処理が終了できない事態が起こっていました。
サポートセンターも残念
サポートも非常に残念です。
サーバ会社のサポートセンターは、残念なところが多いワケですが、Webアリーナはご多分に漏れず残念です。
平日の午前中に 1回、午後に 2回ほどかけたことがありましたが、10分待ってもつながらなかったためにあきらめてメールで問い合わせをせざるを得ませんでした。
また、どうしても急ぎで電話で問い合わせをする必要があった時には延々と待ち続けましたが、その時は 24分待ってようやくつながりました。
果たして、24分も待てる方はどれだけいるのでしょうか?
その他の残念ポイント
その他、実際に利用して残念なポイントとしては以下になります。
標準で利用できる Webメールソフト「Denbun」ですが、ドキュメントルートの中の領域に乗っています。
ですが、FTPで接続しても見えない設定になっています。
これが結構厄介で、.htaccessを利用してドキュメントルート全体をリダイレクトするような設定にすると「Denbun」が使えなくなってしまいます。
ですが「Denbun」をリダイレクト対象から外そうと、サポートセンターにフォルダ名やファイル名を問い合わせをしたものの回答をもらうことができず、.htaccessでのリダイレクト設定はあきらめざるを得ないという...
ホームページ~マルチドメイン設定ツール
http://web.arena.ne.jp/support/suitex/manual/hp/multi_domain.html
Webアリーナの契約ドメイン以外のドメインを当てる場合や、サブドメインを当てる場合は、上記の手順で対応を行う必要があります。
一読しただけでは理解しづらく、初心者にはハードルが高く、エンジニアであっても稼働中の本番サーバに設定する場合はかなりドキドキものです。
Eストアーのショップサーブの WordPressオプションサービス
ショップサーブの WordPressオプションサービス
https://sps.estore.jp/function/wordpress/
株式会社Eストアーはネットの創成期から ECショップのシステムを提供してきた企業で、ショップサーブは簡単に高機能な ECサイトが構築できる ASPです。
ASPとして提供する ECシステムは、販売する商品によって使いやすい、使いにくい点はどうしても出てきてしまいますので、ここでは ASPのショップサーブの評価はしません。
とは言え、使いにくい ASPであればここまで大きなサービスにはならないと思いますので、最大公約数的な機能が求められる ASPサービスとしては十分なのではないでしょうか。
そんな中、「なんだかなぁ」と思ったサービスは、ショップサーブの WordPressオプションサービスです。
詳しくは「EストアのショップサーブのWordPressサービスにメリット無し」に書いていますが、それだけの機能ならわざわざショップサーブの WordPressオプションサービスである必要性は?と思わずにいられませんでした。
ソニーの子会社 So-netが提供するレンタルサーバHS
So-netレンタルサーバ HS
https://www.so-net.ne.jp/option/rentalserver_hs/
So-netは、ソニーの完全子会社のプロバイダー事業者です。
ポストペットを提供していた企業としても知られています。
こちらのサービスはヤバ過ぎます。
あまりにも残念すぎて書くことが多すぎましたので、独立した記事にしましたので下記をご覧ください。
So-netのレンタルサーバHSはヤバイ・借りてはいけないレンタルサーバリスト
借りてはいけないレンタルサーバのまとめ
いかがでしたでしょうか?
ホームページ上でのサーバサービスの紹介は、どこのサーバ会社も似たような感じで書かれていますが、実際に使ってみた場合の使い勝手は大きく異なります。
ただ、こればっかりは使ってみないと分からない点も多々ありますので、使ってみた感想として何かの参考になればと思っています。
また、今回の記事を書くにあたっていくつ分かったことは、レンタルサーバサービスは OEMなどにより提供されているものも多数あるということです。
自社でサーバを構築、提供している企業の方が当然のことながら技術力もありますし、新サービスの投入も早いワケですし、料金も安いワケです。
契約する側の企業としては、サーバ、ドメイン、SSL...サービスごとにいろいろな会社と契約するのは面倒なのでまとめてどこかに!と思いがちですが、サービス内容を考えるとしっかりとして見極めが必要なのだろうと思います。
「残念」という表現
ちなみに、「残念」と表現するようになったのは、下記の本を読んでからですね。
ネガティブな情報を提供する際の表現としてややぼかした表現として「残念」を使っています。
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