CakePHPのバリデーションを入力値・項目の条件によって変える方法を解説
CakePHPで入力値によってバリデーションを切り替える
CakePHP 2でバリデーションを条件によって切り替える方法
入力フォームから入力された項目によって、バリデーション(入力チェック)の内容を変えたい、という場面があると思いますが、その方法を CakePHPで実装する方法を解説します。
対象バージョン:CakePHP2系(CakePHP 2.2以上)
参考サイト
https://book.cakephp.org/2.0/ja/models/data-validation.html#id11
条件によってバリデーションの内容を変える具体的な例
想定している具体的なイメージは下記のような感じです。
「連絡手段を選択し、選択した連絡手段の連絡先の情報を入力してください。」
上記の入力フォームで、「連絡手段」の選んだ選択肢によって、「連絡先情報」の入力内容が変わるため、それに合わせて「連絡先情報」のバリデーションの内容を変更する必要があります。
「連絡手段:電話」 の場合は、電話番号チェック
「連絡手段:メール」の場合は、メールアドレスチェック
「連絡手段:郵送」 の場合は、郵便番号チェック
「連絡手段:その他」の場合は、必須チェックのみ
CakePHPで unsetを利用して入力値を条件としてバリデーションを切り替える具体的なソースコードと解説
バリデーションを切り替える処理の実装手順
実装の手順としては以下の通りです。
1.Modelに、必要なバリデーションを記述します。
2.Controllerに、条件よって使わないバリデーションを削除する処理を記述します。
1.Modelに、必要なバリデーションを記述
では、具体的なソースコードを確認していきます。
まず、Modelに記述するバリデーションの内容です。
コメントを書いていますが、必須チェックのほか、電話番号、メールアドレス、郵便番号の入力チェックを行うバリデーションを記述しています。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 |
public $validate = array( 'contact_number' => array( // 必須チェック 'notEmpty' => array( 'rule' => 'notEmpty', 'allowEmpty' => false, 'message' => 'アカウントIDが入力されていません' ), // 電話番号のチェック 'telCheck' => array( 'rule' => '/^\d{10,11}$/', 'allowEmpty' => false, 'message' => '電話番号はハイフンなしで入力してください' ), // メールアドレスのチェック 'mailCheck' => array( 'rule' => 'email', 'allowEmpty' => false, 'message' => 'メールアドレスを入力してください' ), // 郵便番号のチェック 'zipCheck' => array( 'rule' => '/^\d{3}-\d{4}$/', 'allowEmpty' => false, 'message' => '3桁 - 4桁の形式で入力してください' ), ), ); |
上記の「rule」では、
「/^\d{10,11}$/
」(10桁~11桁の数値)
「/^\d{3}-\d{4}$/
」(3桁の数値 + 「-」 + 4桁の数値)
のように、正規表現を使って入力条件を指定しています。
2.Controllerに、条件よって使わないバリデーションを削除する処理を記述
続いて、1で設定したバリデーションを、条件によって使わない処理を記述していきます。
入力された「連絡手段」を「$this->request->data['Contact']['method']
」で取得し、電話の場合、メールの場合、電話の場合と振り分け、必要ないバリデーションを「unset」コマンドで削除していきます。
その結果、必要なバリデーションだけが残り、その処理が実行される、という仕組みになっています。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 |
public function add() { if ($this->request->is('post') || $this->request->is('put')) { // 電話が選択された場合 if ( $this->request->data['Contact']['method'] == "1" ) { unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["telCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["mailCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["zipCheck"] ); // メールが選択された場合 } elseif ( $this->request->data['Contact']['method'] == "2" ) { unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["telCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["mailCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["zipCheck"] ); // 郵送が選択された場合 } elseif ( $this->request->data['Contact']['method'] == "3" ) { unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["telCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["mailCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["zipCheck"] ); // その他が選択された場合 } else { unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["telCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["mailCheck"] ); unset ( $this->Contact->validate["contact_number"]["zipCheck"] ); } // エラーがない場合は正常処理 if ( $this->Contact->validates() ) { if ($this->Contact->save($this->request->data)) { $this->Session->setFlash(__('The contact has been saved')); $this->redirect(array('action' => 'index')); } else { $this->Session->setFlash(__('The contact could not be saved. Please, try again.')); } } } $this->set(compact('contacts')); } |
ちなみに、この「unset」は CakePHP 2.2で追加されたため、CakePHP 2系でも 2.2より前のものではこの方法は使えません。
CakePHPで条件によってバリデーションを振り分ける処理のまとめ
入力条件によってバリデーションを振り分ける処理として、今回は「unset」関数を使ってすでにあるバリデーションを削除していく、という処理で条件に合致するバリデーションを指定する方法を紹介しました。
これ以外にも方法はあるようですが、この方法は理解しやすく、実装しやすい方法だと感じます。
GoogleAdwords
GoogleAdwords
この記事が参考になったと思いましたらソーシャルメディアで共有していただけると嬉しいです!
関連記事
-
-
CakePHP3のCakeDC/UsersのUserHelperでログアウトやreCAPTCHAをカスタマイズ
CakeDC謹製Usersプラグインの紹介。UserHelperを利用し、ログアウトのリンクや権限があるときのみ表示されるリンク、プロフィールページへのリンク、reCAPTCHAの設置方法などを解説。
-
-
CakePHP3でQRコードを作成、表示するライブラリ「cakePHP-QR-Code-Helper」
CakePHPでQRコードを生成するライブラリ「cakePHP-QR-Code-Helper」の紹介。GDライブラリのインストールも必要ないHelperとして提供されているため、ファイルを設置すればすぐに使用可能。
-
-
CakePHP 2.3で PDFを作成する方法を調査「mpdf」「TCPDF」「FPDF」
CakePHPで PDFを編集、出力するには「mpdf」「TCPDF」「FPDF」といったプラグインがあり、使い勝手を比較検討しました。TCPDFが一番良さそうでした。
-
-
CakePHP 2.3 Search Pluginで検索処理 その3入力エリア一つで複数の項目を同時に検索する方法
CakePHPの検索プラグイン Search Pluginの検索処理の中で入力エリア一つで複数の項目を同時に検索する方法を解説。
-
-
CakePHP3でDocumentRootやtmp、webroot、logsなどのフォルダへのパスの定数
CakePHP3で特定フォルダのパスの定数を解説。root、DocumentRoot、app、config、webroot、tests、tmp、cache、vendor、コア、コアの srcが設定済み。realpath()関数を使うと柔軟なパス指定が可能。
-
-
CakePHP 2.3で saveの便利な使い方・サンプルソース付き
CakePHPのレコードを保存、更新する際に使う Saveを詳細解説します。
-
-
CakePHP3のfriendsofcake/searchでツリーカテゴリーの子階層も含めて検索する方法
CakePHP3のツリービヘイビアを使ったツリーカテゴリーの子階層も含めての検索を検索プラグイン「friendsofcake/search」を使って実現する方法を解説しました。
-
-
CakePHP3で保存前にバリデーション結果を取得する2つの方法
CakePHP3でデータベースに値を保存する前にバリデーションを行い、その結果によって処理を振り分ける方法について解説。「$topic->errors()」と「$topic->hasErrors()」の2つの方法がある。
-
-
URL短縮サービス「TTTオンライン(https://ttt.onl)」公開
URL短縮サービス「TTTオンライン(https://ttt.onl)」を公開。メールやSNSでは使いにくい長いURLを短いURLに変換するサービス。QRコードも。Google URL Shortenerが2019年3月にサービス終了。
-
-
CakePHP 2.3でファイルをアップロード・その2 ファイル名を乱数で設定
CakePHPのアップロードするファイル名を乱数で変更しセキュリティを高める方法を解説。