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現役プログラマの私が小学校のプログラミング授業は必要ないと考えるその理由

   

2020年から小学校でプログラムの授業が始まるがなぜ必要なのか?を考える

 

プログラマである私は小学校でプログラムを頑張る必要はないと考える

 
私は、現役でシステムエンジニアをやっています。
日々プログラムも書いています。
 
ですが、小学校でプログラムの授業をやる必要はないと考えています。
もっと詳しい説明をすると、小学校の授業でやるならやってもいいと思いますが、だからといってプログラミング教室(プログラミング塾)が大盛況になる!というほど頑張る必要はないと思っています。
 
 

プログラミングの授業を行う小学校の状況

 
今年(2020年)の 4月から小学校でプログラミングの授業が始まります。
ですが、小学校側の準備が充分ではないようです。
 
小学校プログラミング教育、114教委が「最低限の指導体制整わず」
https://www.sankei.com/life/news/200110/lif2001100007-n1.html
 
プログラミング教育、スタートに黄色信号 準備順調7県のみ
https://www.sankei.com/life/news/200109/lif2001090025-n1.html
 
 
世の中的にプログラマーは不足していますので、普通に仕事ができるプログラマであれば食いっぱぐれることはありません。
 
そんな状況ですので、わざわざ小学校でプログラムを教えたい、と思って教員に転身する人が充分な人数いるとは思えません。
 
また、日常的にパソコンを(Wordや Excelなどのオフィス製品やメール、ブラウジング以外のパソコンとしての機能を)使っている教員がどれくらいいるでしょうか。
 
教師もプログラミングは初めて...
そんな状態の教員が教えるプログラミングが果たして役に立つのでしょうか。
 
 

プログラミングは体育や習字、図工などと同じくらいの認識でいい

 
そんな教える側のレベルの問題もあるとは思いますが、そもそも、小学校でプログラミングを一生懸命やる必要はないと考えています。
 
 
なぜなら、実業務としてのプログラミングは、プログラムを書ければいいというものではないからです。
 
実業務としては、サーバやネットワークなどの環境の知識も必要ですし、業務ノウハウ、業界の商習慣などの知識も必要になります。プロジェクトを遂行するにはドキュメントを読んだり書いたり、仕様の調整や納期や金額の交渉のために周りの方々とコミュニケーションを取ったりすることなども必要になってくるわけです。
 
 
なので、プログラマと言えどもプログラムが書ければそれでいい、というわけではないのですが、システム開発に携わったことがない親からすると
 プログラムの授業が始まる!?
 プログラミングを習わせないと!
となるのではないのかと感じます。
 
 
学校では、体育を習ったり、お習字を習ったり、裁縫を習ったり、料理だったり、絵画だったり、工作だったり、音楽だったり、という感じで色々な授業があるように、プログラムというものも始まるんだね。という感じで捉えればいいのではないでしょうか。
 
パソコンやスマホはこういったプログラムというもので動いているんだよ。
このプログラムはこうやって作るんだよ。
それがちょっと理解できればいいんじゃないかと思います。
 
スポーツや音楽、絵画などと同じ様に、プログラムを面白いと感じる子どもは自分でそれをやるでしょうから。
 
 
勉強にしても、スポーツにしても、芸術分野の音楽や絵画などにしても、同じことが言えますが、世界のトップと伍して戦っていくつもりならば、小さい頃からの英才教育も必要だと考えています。
加えて、本人の才能も必要でしょう。
 
ですが、そんな一握りの世界のトップを目指すつもりではないならば、授業で行う音楽、図工、裁縫、習字、料理などと同じレベルで捉えればいいんじゃないかと思います。
 
 
なので、小学校のうちからプログラミングの教室に通う必要はない。そう思います。
もちろん、子どもが興味を持って「やりたい!」と言うならば止める必要もないとは思いますが。
 
 

プログラムは簡単に忘れてしまう

 
小学生からプログラム教室に通う必要はない。
そう考える最大の理由は、プログラミングなんてすぐに忘れるから。
 
私のようなプログラムを書くことを仕事としているような人間でも、半年も使わない言語は忘れてしまいます。
 
プログラミングから 3年も離れれば完全に素人同然になります。
 
スポーツや音楽、芸術系などの身体で覚えるものは、しばらくやっていなくてもちょっとやれば身体が思い出すこともあるでしょう。
 
 
ですが、プログラミングは頭で覚えるものなので、3年もやらなければゼロになります。
 
私は IT業界に身を置きながらも、3年ほど現場から離れてマネジメントをやっていた時期がありましたが、そうしたら全くプログラムが書けなくなってしまいました。
プログラムを業務としてやっていた人間でも忘れるのです。
 
 
さらに、プログラミング言語は 5年くらいで主流の言語は入れ替わります。
10年もすればシステムの設計方法、開発手法も含めてまるっと変わってしまいます。
 
そのため、小学校で習うプログラム言語は、社会人になって業務に携わる頃には過去の遺産となっているでしょう。
 
なので、授業でプログラミングが始まるからといって、子どもが興味を持っていないのにプログラミング教室に通わせることに意味があるとは思えません。
 
 

プログラミングの授業で大事なことは論理的な思考

 
ただ、ひとつ。
プログラミングの授業で大事にすべきことがあります。
 
それは、
論理的に手順を組み立てる考え方を身につけることです。
 
 
システム開発以外の日々の作業、様々な活動をする上でも論理的な思考は必要になってきますが、それを具体的に目に見える形で組み立てて、動作確認をすることができるものがプログラムという装置なのです。
 
 
プログラムは、決まったルールに従って、論理的に手順を組み立てます。
そして、組み立てた手順を実行することができます。
組み立てた手順があっていれば想定した通りの動きをしてくれます。
ですが、その手順が間違っていればエラーが発生します。
 
この「論理的な手順を組み立てる」ことをトレーニングできる装置がプログラムであり、授業に取り入れる意味だと考えています。
 
 
なので、プログラミングの授業で大事なのは、
プログラミングができるようになること
ではなく、
プログラムを組むことでその論理的な手順を組み立てる思考を身につけること
なのだと考えています。
 
 
そのため、論理的な思考を組み立てるトレーニングができれば、プログラミングにこだわる必要はないのではないか、と考えています。
 
例えば、
料理をするにも段取りがしっかりしていないとスピーディーに作れません。
ディベートで自分の意見を相手に伝えるには論理的な論法を組み立てる必要があります。
面白い小説を書こうと思うとラストに向かってストーリーを組み立てる必要があります。
 
ご家庭ごとに、子どもの興味が向く方向で、論理的な思考を組み立てるトレーニングをさせてあげればいいのだろうと思います。
 
 
そして、その論理的な手順を組み立てるには、それを支える語学力(母国語力)が大事だと言うことになるのです。
(自然科学の仕組みを説明するための言語は数学ですが。)
 
なので、小学校、中学校くらいの頃は多くの本を読み、文章を書き、読解力を高めていくことに力を入れるほうがいいのだろうと思います。
 
それがすなわち、
「地頭」を鍛えるということなのだろうと思います。
 
 
 
ノーベル賞を受賞された白川博士が下記のようにおっしゃっています。母国語の大事さを語っています。
 
日本語で科学を学び、考えることができる幸せーーノーベル化学賞の白川英樹博士が語る先人たちへの感謝
https://www.mugendai-web.jp/archives/7373
 
 
プログラミングを子どもに教える前にこんな事を考えてみては?という説明がされている記事です。
 
プログラミング教育が必修化。大事なのは「国語力」だという意外な事実
https://www.lifehacker.jp/2020/01/book_to_read-451.html
 
 

記事のあとがき

 
ここ以降の内容は、あとがきとして、蛇足、与太話、参考になるような他サイトの記事です。
 
 

大学入試改革は間違っていたのか?

 
萩生田文部科学大臣の失言によって大学入試改革は頓挫しましたが、その改革の方向性である、センター試験のような知識を問う問題から、文章を読んで文章で回答させる読解力を問う問題に変えるということは正しいのだと思います。
 
ですが、センター試験のように何十万人も一斉に受験するテストで行えるものではないところが問題であったのだろうと思います。
 
AIが進化し、AIによって機械的に大量に均一な品質での採点ができるようになるまでは、読解力を記述形式で解答させるテストは無理なのだろうと思います。
そのような記述式のテストは二次試験などで実施するべきなのだろうと思います。
 
 
ちなみに、都立中学校(都立高校附属中学、都立中等教育学校)の入試問題は、長文読解を中心とした読解力をはかる問題になっています。記述式の回答も多くなっています。
そして、同じような傾向の試験問題を採用する私立中学校も増えています。
 
彼らが社会に出ていく頃には大学入試改革とは関係なく、知識詰め込み型とは違う優秀な人材が育っているのではないか、とも感じます。
 
 
 
なぜ、読解力が必要なのか。
それについては下記の記事などを読むと理解が進むのではないか、と思います。
 
AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/yuasamakoto/20161114-00064079
 
「教科書が読めない」子どもたち 教育現場から見えた深刻な実情
https://dot.asahi.com/aera/2018041200052.html
 
日本人の3分の1は日本語が読めない!?
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00261/
 
 

プログラムはプログラム(AI)が組む時代がやってくる

 
ちなみに、ここからは完全な与太話ですが...
 
 
今の小学生たちが社会に出る頃にはプログラムはプログラムが作成するようになっていると考えています。
AIがプログラムを作成するのです。
 
ですが、10年程度では AIが業務フローを理解したり、日々の作業を把握することはできないと考えていますので、「業務内容をどのようにしてシステムに置き換えるか」は人が考える必要があると考えています。
 
なので、その頃のシステム開発担当者には、プログラミングそのものの能力よりも、コミュニケーションを取りつつ業務フローを理解して、システム化するロジックを考えられることがより求められるようになるのだろうと考えています。
 
もし、そうなるのだとすると、論理的思考がより求められるようになっているのだろうと感じるのです。
 
 
とはいえ、プログラマが全く必要とされないわけでもないと思います。
 
AIがプログラムを作る時代になっても、必要とされるプログラマはいるでしょう。
ですが、必要とされるのは、プログラムを作る AIを開発するプログラマとなるでしょうから、プログラマとして仕事をするには今を遥かに超える能力が求められるようになっているのではないか、と感じます。

 - ただの日記

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