CakePHP4の数値項目は「like %10%」の部分一致検索(find select)はできない
2024/08/10
CakePHP4で数値項目のlike句の部分一致検索はできない
CakePHPの数値項目に対しては、下記のように like句を使用した select文は実行できないようです。
SELECT * FROM users WHERE income like '%100%';
CakePHP4で数値項目のlike句の部分一致検索はできないことの実例
like句の部分一致検索用のサンプルテーブル
下記のようなテーブルがあったとします。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 |
CREATE TABLE `users` ( `id` smallint(6) NOT NULL UNIQUE COMMENT 'ユーザID', `name` varchar(50) NOT NULL COMMENT '氏名', `income` int(11) DEFAULT NULL COMMENT '収入', `created` datetime NOT NULL DEFAULT now() COMMENT '登録日時', `modified` datetime NOT NULL DEFAULT now() COMMENT '更新日時', PRIMARY KEY (`id`), UNIQUE KEY `id_UNIQUE` (`id`) ) ENGINE=InnoDB DEFAULT CHARSET=utf8mb4 COMMENT='ユーザーテーブル'; |
このテーブルに対して、CakePHPのクリエビルダーを使用して、「name(varchar型)」と「income(int型)」に対して「like 句」を使用してレコード検索をしてみました。
「name(varchar型)」に対する like句の部分一致検索は問題ない
「name」のように文字型の場合は下記の記述方法で何も問題は発生しません。
「%」を囲む文字は「’(シングルクォート)」で囲っても、「”(ダブルクォート)」で囲っても問題はありません。
1 2 3 4 |
$conditions = [ "name like" => "%" . $this->request->getParam("name") . "%" ]; $this->Users->find()->where($conditions); |
「income(int型)」に対する like句の部分一致検索はエラーが発生する
対して、数値項目である「income」に対して「%」ワイルドカードを使用した部分一致検索をしようとするとエラーになります。
1 2 3 4 |
$conditions = [ "income like" => "%" . $this->request->getParam("income") . "%" ]; $this->Users->find()->where($conditions); |
上記を実行すると
「Cannot convert value of type string to integer」
というエラーが出ます。
「『income』は数値項目だけど、検索対象の文字列『%100%』は数値に変換できませんよ」というエラーです。
そんなエラーですので、「%」を囲む文字を「’(シングルクォート)」「”(ダブルクォート)」のどちらにしても同じエラーが出ます。
「(バッククォート)」を使用するとエラーは出ないが部分一致検索はできていない
ちなみに、
下記のように「(バッククォート)」を使用すると、エラーは出なくなりますが、「%」が機能しなくなり、完全一致でないと対象レコードを取得できなくなります。
1 2 3 4 |
$conditions = [ "income like" => `%` . $this->request->getParam("income") . `%` ]; $this->Users->find()->where($conditions); |
この「`(バッククォート)」で囲むと「%」が機能しなくなるのは、「income(int型)」だけでなく、「name(varchar型)」でも同様でした。
ちなみに、「like」演算子を使っていてもワイルドカードを使用しない下記のような記述方法であればエラーは発生しません。
当然ですね。入力された値を数値として処理できますので。
1 2 3 4 |
$conditions = [ "income like" => $this->request->getParam("income") ]; $this->Users->find()->where($conditions); |
ただ、ワイルドカードを使えないのであれば like検索をする必要性がないわけですが...
「income(int型)」に対する「_」を使用するパターンマッチングもエラーが発生する
like句での検索には、「_(アンダースコア、アンダーバー)」を使用したパターンマッチングもあります。
select * from users where income like "100_100";
「income(int型)」の項目に対しては、「_(アンダースコア、アンダーバー)」を利用したパターンマッチングもエラーが発生します。
1 2 3 4 |
$conditions = [ "income like" => "100_" . $this->request->getParam("income") ]; $this->Users->find()->where($conditions); |
「%」を使用した部分一致検索と同様に
「Cannot convert value of type string to integer」
というエラーです。
「_(アンダースコア)」は数値に変換できませんので、まぁ、同じエラーが出るだろうな、ということは予想できることですね。
※「name(varchar型)」の方は「_(アンダースコア)」を使用したパターンマッチングも問題なく実行できます。
「income(int型)」に対する部分一致検索の問題は SQLクリエービルダーの問題
今回紹介した CakePHP4において、数値型カラムに対して like句を使用した部分一致検索で発生するエラーの問題は、CakePHPの SQLのクリエービルダーの不具合によるもののようです。
下記のようにクリエビルダーを使わずに直接 SQLを実行する方法ではエラーは発生せず、想定したレコードが取得でることからも判断できます。
1 2 3 4 |
$connection = ConnectionManager::get('default'); $users = $connection ->execute("SELECT * FROM users WHERE income like '%100%'") ->fetchAll('assoc'); |
数値項目を like句を使用した部分一致検索をする場面は多くないと思いますが、どうしても「数値項目を部分一致検索したい!」という場合は上記のようにクリエビルダーを使用せずに直接 SQLを記述する方法が検討に入るのではないか、と思います。
その他の方法としては、int型をやめて varchar型にする、などでしょうか...
もし、こうすれば出来るよ、と言う方法があればご教授ください!
今回の参考サイトは下記になります。
CakePHP4 クリエービルダー
https://book.cakephp.org/4/ja/orm/query-builder.html
「シングルクォート」「ダブルクォート」「バッククォート」の違いについては、下記の記事などが参考になるかと思います。
記事自体は Linuxのコマンドに関する記事ですが、PHPでも基本的な扱いは同じです。
https://www.server-memo.net/shellscript/quart.html
CakePHP4の関連記事
CakePHP4系でJSONレスポンスの処理ではwithStringBodyを使う。3との違い解説CakePHP4、CakePHP5の「warning: DebugKit is disabling...」の対処方法
MySQL+CakePHPのdate型、datetime型項目は「2999-12-31」までしか扱えない
CakePHP4のFrozenDateで1ヵ月前、先月、今月1日、来月末の日付などを算出する方法
CakePHP4のcake cache clear_allでPermission deniedはパーミッションの変更が必要
CakePHP4のクリエビルダーを使用してOR条件をAND条件でつなぐSQL文を作る方法
CakePHP4のController内でViewテンプレート、レイアウトの変更設定を記述する方法
CakePHP4から外部のデータベースにアクセスする方法解説
CakePHP4の数値項目は「like %10%」の部分一致検索(find select)はできない
CakePHP4でロギングスコープやログレベルを使用してログを出し分ける方法を解説
その他の「CakePHP4」に関する記事一覧
GoogleAdwords
GoogleAdwords
この記事が参考になったと思いましたらソーシャルメディアで共有していただけると嬉しいです!
関連記事
-
-
CakePHP5でヘルパーから他のヘルパーを読み込む方法・CakePHP4からの変更点
CakePHP5のヘルパーで他のヘルパーを読み込む方法を解説。公式の日本語CookbookはCakePHP4のソースのままで間違っているため注意が必要。CakePHP4からの移行の際も同じ点に注意が必要。
-
-
CakePHP3のOGPはHTMLヘルパーの$this->Html->meta()を使って設定
CakePHP3でOGPを設定する方法を解説。metaタグを編集するHTMLヘルパーを利用してOGPのタグを編集する。また、エレメントとして分割することでメンテナンス性も向上させる。
-
-
MySQL+CakePHPのdate型、datetime型項目は「2999-12-31」までしか扱えない
CakePHPの日付、日時の型であるdate型、datetime型の最大値は2999-12-31となっている。MySQLは9999年までなので違いがあるので注意が必要だ。
-
-
CakePHP4の規約外のカラムをキーにアソシエーション(テーブル連結)する方法
CakePHPで規定外のカラム名のキーを指定してアソシエーション(テーブル連結)をする方法を解説。アソシエーション名によってはミスが発生しやすい点もあるので注意も必要。
-
-
MySQL、CakePHP 2.3で「tinyint(1)」の Boolean型の動作を再確認
MySQL+CakePHPの環境で「tinyint(1)」を利用する際の動作を検証。「tinyint(1)」の Boolean型について CakePHPでは自動処理が実施されていることを確認しました。
-
-
CakePHP3のルーティング(routes.php)の変更が反映されない時はキャッシュのクリアを
CakePHP3でルーティングの設定変更をしたけど反映されない!そんなときは慌てず騒がずキャッシュをクリアしよう!ルーティングの設定もキャッシュされることがあるらしい。
-
-
CakePHP3でDocumentRootやwebroot、imgフォルダのURLやドメイン、パスを取得
URLやドメイン、フォルダへのパスの取得は、ビューではUrlHelperを使い、コントローラーではRouterクラスを使います。第2引数の指定でURLを取得することも可能。
-
-
CakePHP3ログファイルへの出力・$this->log()、独自ログへの出力方法の解説
コントロール、モデルの変数の中身を見るときはログに出力する方法が有効です。$this->log()を利用すると変数だけじゃなく、連想配列、オブジェクトも簡単にログ出力ができます。
-
-
CakePHP3で保存前にバリデーション結果を取得する2つの方法
CakePHP3でデータベースに値を保存する前にバリデーションを行い、その結果によって処理を振り分ける方法について解説。「$topic->errors()」と「$topic->hasErrors()」の2つの方法がある。
-
-
CakePHP3でkeywords、DescriptionをHTMLヘルパーを使って設定する
CakePHP3のkeywordsとdescriptionを設定する方法の解説。CakePHP3にはmetaタグを編集するHTMLヘルパーが用意されているためそれを利用すればOK!ポイントはブロック化を有効にすること。