CakePHP3でテーブルにカラム(項目)を追加したときに変更するポイントのまとめ
2019/06/08
CakePHP3でテーブルにカラムを追加したときに変更するポイント
システム開発途中でカラムの追加はよくある話
CakePHP3でシステムを開発するとき、Bakeを使ってベースとなる処理を作成しておくと作業を効率化することができます。
ですが、システム開発においては、途中でテーブルにカラムを追加する必要性が生まれることは日常茶飯事です。
開発があまり進んでいないときならば、テーブルにカラムを追加して Bakeからやり直す、という方法もありですが、相応に開発が進んでいたら、Bakeからやり直すのは非効率的ですし、バグが混入することにもなりかねません。
というわけで、テーブルにカラムを追加する前と後とで、Bakeして生成される Controller、Model、Templateファイルがどう変わるのか、を確認して、カラムを追加したときは何を変更すべきなのか、を明確にしていきます。
これを見て変更点をチェックすれば、カラムを追加しても抜けもれなく対応できます!
(処理の内容を理解していれば、修正すべき個所は分かるハズではあるんですが...)
作成するテーブルのサンプル
まず、最初に作成したテーブルは下記のとおりです。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
CREATE TABLE `tests` ( `id` int(11) unsigned NOT NULL AUTO_INCREMENT, `user_id` char(36) NOT NULL, `url` varchar(100) NOT NULL, `new_url` varchar(100) NOT NULL, `created` datetime NOT NULL, `modified` datetime NOT NULL, PRIMARY KEY (`id`), UNIQUE KEY `new_url_text` (`new_url`) ) ENGINE=InnoDB AUTO_INCREMENT=1 DEFAULT CHARSET=utf8 |
これに対して、下記の ALTER TABLEで削除フラグのカラム「deleted」を追加します。
1 |
ALTER TABLE tests ADD deleted tinyint default null AFTER new_url; |
Bakeで作成されるファイル
Bakeを実行して作成されるファイルは、以下となります。
Bakeを再実行する際に「Do you want to overwrite? (y/n/a/q)」との確認があるファイルでもあります。
/src/Model/Table/TestsTable.php
/src/Model/Entity/Test.php
/tests/Fixture/TestsFixture.php
/tests/TestCase/Model/Table/TestsTableTest.php
/src/Controller/TestsController.php
/tests/TestCase/Controller/TestsControllerTest.php
/src/Template/Tests/index.ctp
/src/Template/Tests/view.ctp
/src/Template/Tests/add.ctp
/src/Template/Tests/edit.ctp
更新された内容は以下の通りとなります。
/src/Model/Entity/Test.php
13行目のコメント行が追加になっています。
1 |
* @property int|null $deleted |
34行目が追加になっています。
1 |
'deleted' => true, |
/src/Model/Table/TestsTable.php
74、75行目が追加になっています。
1 2 |
$validator ->allowEmptyString('deleted'); |
/src/Template/Tests/index.ctp
24行目が追加になっています。
1 |
<th scope="col"><?= $this->Paginator->sort('deleted') ?></th> |
37行目が追加になっています。
1 |
<td><?= $this->Number->format($test->deleted) ?></td> |
/src/Template/Tests/view.ctp
38~41行目が追加になっています。
1 2 3 4 |
<th scope="row"><?= __('Deleted') ?></th> <td><?= $this->Number->format($test->deleted) ?></td> </tr> <tr> |
/src/Template/Tests/add.ctp
23行目が追加になっています。
1 |
echo $this->Form->control('deleted'); |
/src/Template/Tests/edit.ctp
29行目が追加になっています。
1 |
echo $this->Form->control('deleted'); |
/tests/Fixture/TestsFixture.php
22行目が追加になっています。
1 |
'deleted' => ['type' => 'tinyinteger', 'length' => 4, 'unsigned' => false, 'null' => true, 'default' => null, 'comment' => '', 'precision' => null], |
42~52行目の、48行目が追加、45、49、50行目が変更になっています。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 |
$this->records = [ [ 'id' => 1, 'user_id' => 'bc984858-445f-4cc1-adff-65441c360e2e', 'url' => 'Lorem ipsum dolor sit amet', 'new_url' => 'Lorem ipsum dolor ', 'deleted' => 1, 'created' => '2019-04-11 22:37:23', 'modified' => '2019-04-11 22:37:23' ], ]; |
テーブルの構造を変更しても、Controllerは変更されていません。
テーブル構造を変更した場合の対応は、Modelの Entityと Tableのファイルでした。
Templateも変更がありますが、こちらは、必要に応じて項目を追加するといいでしょう。
テーブル構造を変更した場合はキャッシュをクリアする
テーブルの構造を変更した場合は、キャッシュをクリアしましょう。
キャッシュのクリア方法は、CakePHP 3.3以降であれば、下記のコマンドが便利です。
1 |
$ bin/cake cache clear_all |
詳しくは、「CakePHP3、CakePHP4のキャッシュをクリアする方法「bin/cake cache clear_all」を使う」に記事を書いていますので、参考にしてください。
関連テーブルがある時、ない時とでの記述内容の違い
アソシエーションしたテーブル(関連付けされたテーブル)がある場合は、関連テーブルを createする前に bakeする場合と、createしてから bakeした場合とでも作成されるファイルがやや違うことも確認しました。
差異があるファイルの内容は、以下の通りです。
/src/Template/Tests/add.ctp
1 2 3 4 5 6 |
<ul class="side-nav"> <li class="heading"><?= __('Actions') ?></li> <li><?= $this->Html->link(__('List Tests'), ['action' => 'index']) ?></li> <li><?= $this->Html->link(__('List Users'), ['controller' => 'Users', 'action' => 'index']) ?></li> <li><?= $this->Html->link(__('New User'), ['controller' => 'Users', 'action' => 'add']) ?></li> </ul> |
上記の 4、5行目が追加になっています。
これは、「add.ctp」の 17行目、18行目ですが、「Tests」の画面でも「Users」への関連リンクが追加されています。
1 2 3 |
echo $this->Form->control('user_id', ['options' => $users]); echo $this->Form->control('url'); echo $this->Form->control('new_url'); |
また、上記の 1行目も下記のように変更されています。
1 2 3 4 5 |
// 変更前 echo $this->Form->control('user_id'); // 変更後 echo $this->Form->control('user_id', ['options' => $users]); |
画面を表示させると分かるのですが、変更前はテキスト形式の入力ボックスなのですが、変更後はプルダウン形式に変更されています。
add.ctpと同じ様に、edit.ctp、index.ctp、view.ctpも同じような趣旨の変更が加わっています。
/src/Model/Entity/Test.php
16行目のコメントが下記のように変更になっています。
1 2 3 4 5 |
// 変更前 * @property \App\Model\Entity\User $user // 変更後 * @property \CakeDC\Users\Model\Entity\User $user |
/src/Model/Table/TestsTable.php
12行目のコメントが下記のように変更になっています。
1 2 3 4 5 |
// 変更前 * @property \App\Model\Table\UsersTable|\Cake\ORM\Association\BelongsTo $Users // 変更後 * @property \CakeDC\Users\Model\Table\UsersTable|\Cake\ORM\Association\BelongsTo $Users |
/tests/Fixture/TestsFixture.php
/tests/Fixture/TestsFixture.php も更新されていましたが、44、47、48行目のデータの値でしたので、ここでの説明は割愛します。
関連テーブルを作成する前後での違いを検証するつもりはありませんでした。
ですが、「tests」に CakeDC/Usersの user_idと連携させるためのカラムがあることを忘れていて、「tests」だけで Bakeをしてしまったため、「『user_id』に関連するテーブルがない」というエラーが表示されてしまいました。
そのため、ついでに確認をしてみることにした次第です。
CakePHP3の関連記事
CakePHP4のCSS、JavaScript、画像のブラウザへのキャッシュをコントロールするCakePHP3でレコードを保存(追加、更新、Insert、Update)する複数の方法を紹介
CakePHP3でモデルなしフォームからCSVをアップロードしレコードを更新する方法解説
CakePHP3でPHP Simple HTML DOM Parserを使ってスクレイピングする方法
CakePHP3のInsert On Duplicate Key Update(upsert)構文を解説・バルク処理も
CakePHP3の1対多での連携を中間テーブルを使った多対多の連携に変更するときの手順
CakePHP3でデフォルトのソート条件を設定してユーザの選択肢たソート条件を有効にする方法
CakePHP3で Ajaxを使う方法の解説。3.6以降対応。Successとthenの両方を解説。
CakePHP3でパンくずの指定は HTMLヘルパーを使って指定する方法を解説
CakePHP3にOGPをfetch、asignを利用してテンプレートごとに指定する方法を解説
その他の「CakePHP3」に関する記事一覧
GoogleAdwords
GoogleAdwords
この記事が参考になったと思いましたらソーシャルメディアで共有していただけると嬉しいです!
関連記事
-
CakePHP 2.x系 Viewでのコメントの記述方法など
CakePHPにおいて View、ctpファイルでコメントを記述する方法を解説。
-
CakePHP3でモデルなしフォームからCSVをアップロードしレコードを更新する方法解説
CakePHP3でCSVファイルをアップロードしレコードを追加、更新する処理の作成方法の解説。モデルとは直接関連しないフォームからCSVファイルをアップロードするため汎用的に使用可能。
-
MySQL、CakePHP 2.3で「tinyint(1)」の Boolean型の動作を再確認
MySQL+CakePHPの環境で「tinyint(1)」を利用する際の動作を検証。「tinyint(1)」の Boolean型について CakePHPでは自動処理が実施されていることを確認しました。
-
CakePHP3のInsert On Duplicate Key Update(upsert)構文を解説・バルク処理も
CakePHP3で Insert … On Duplicate Key Update構文(upsert)を実行する方法を解説。バルク処理の方法も用意されているため大量処理の場合も対応可能。
-
CakePHP3のCakeDC/Users、Authでログインなしでもアクセスを許可する設定
CakePHP3の Authコンポーネントや CakeDC/Usersプラグインなどを利用したユーザ管理・認証システムにおいて、ログインしていなくても見ることができるページの設定方法を解説。
-
CakePHP3でアソシエーション先のカラムでデータをソートして取得したい
アソシエーション先のテーブルのカラムをキーにソートをしたデータを取得したい!ときの記述方法を解説。「orderAsc()」ではなく「contain()」の中にSort条件を記述する。
-
CakePHP2、CakePHP3、CakePHP4、CakePHP5のバージョンを調べる 2つの方法
CakePHPのバージョンの調べ方2点を紹介。CakePHP3~CakePHP5は共通だが CakePHP2はフォルダ構成が異なるためコマンドのパスもオプションも異なる。
-
CakePHP3にデザインテンプレートBootstrapを導入する方法・friendsofcake/bootstrap-ui使用
CakePHP3にプラグイン「friendsofcake/bootstrap-ui」、デザインテンプレート「Bootstrap」を設置する手順を解説。Bootstrapの簡単な使い方やデフォルトのデザインとの混在方法なども解説。
-
CakePHP 2.3 Search Pluginで検索処理 その2表示件数を動的に変える方法
CakePHPの検索プラグイン Search Pluginの検索処理の中で動的に表示件数を変える方法です。
-
CakePHP3のCakeDC/Usersのバリデーションのカスタマイズ方法解説
CakeDC謹製Usersプラグインの紹介。Usersのカスタマイズとして入力項目のバリデーションの変更を、プラグインのファイルは触らずオーバーライドにより実装する方法を解説する。