CakePHP3でCookieを保存、呼び出し、削除の操作・CakePHP3.7対応
CakePHP3でCookieを保存、呼び出し、削除の操作
CakePHP3では Cookieの仕様が度々変更されている
システム開発において、Cookieは便利で役に立つ機能です。
ですが、CakePHP3ではその Cookieの使用方法がたびたび変更されています。
さらには、その使用方法が Cookbookなどのドキュメントへの反映されるのが遅れているようで、どうやって使えばいいのか混乱が広がっているようです。
というわけで、CakePHP3.7で Cookieを使う方法を解説します。
Cookieを使うために use句を指定
まず、Cookieを使うためには下記の use句を追加します。
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use Cake\Http\Cookie\Cookie; use Cake\I18n\Time; |
「use Cake\I18n\Time
」の方は、Cookieの有効期限を「+1 year」のように指定するためのものです。
具体的な日時を指定する場合は必要ありません。
Cookieに値を保存する方法
Cookieに値を保存する場合は、下記のように記述します。
「key」が Cookieの変数名を指定するところで、「value」が Cookieに保存する値を指定するところです。
1 |
$this->response = $this->response->withCookie(new Cookie("key","value")); |
これだけでは、ブラウザを閉じると Cookieが消えてしまいますので、Cookieの有効時間等を指定する場合は下記のように指定します。
1 |
$this->response = $this->response->withCookie(new Cookie("key","value",new Time("+1 year"),"/","example.com",false,false)); |
上記を分かりやすくビルダーメソッドを使用して記述する場合は以下のようになります。
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$cookie = (new Cookie("key")) ->withValue("value") ->withExpiry(new Time("+1 year")) ->withPath("/") ->withDomain("example.com") ->withSecure(false) ->withHttpOnly(false); $this->response = $this->response->withCookie($cookie); |
1項目目、キーの設定
Cookieを保存するキー(変数名)を指定します。
必須項目です。
2項目目、withValue()
Cookieに保存する値を指定します。
値、項目がない場合は、該当のキーの Cookieを削除します。(保存してある Cookieを削除します。)
3項目目、withExpiry()
Cookieを保持する有効期限を指定します。
指定しない場合は、ブラウザを閉じるまでが有効期限になります。
上記のサンプルは「+1 year」を指定していますので、1年間有効になります。
同様の記述の場合は、アクセスの度に Cookieの有効期限がアクセス日時の 1年後に更新されます。
また、「2019-01-01 12:00:00」のように具体的な日時を指定することもできます。
「2019-01-01」のように時間を指定しない場合は「00:00:00」がデフォルトでセットされます。
過去日を指定した場合は、該当のキーの Cookieを削除します。(保存してある Cookieを削除します。)
4項目目、withPath()
Cookieを有効とするパスを指定します。
特定のフォルダの中でのみ Cookieが有効となるようにしたい場合は、そのフォルダを指定します。
指定しない場合のデフォルト値は「/」で、サイト全体が有効になっています。
5項目目、withDomain()
Cookieを有効とするドメインを指定します。
指定がある場合は、記述があるドメインでのみ Cookieが有効になります。
指定がない場合のデフォルト値は「””」で、ドメインに関係なく Cookieは有効になります。
ちなみに、XAMPPなどのローカル環境では「localhost」を指定します。
(「http://localhost:8080」などのポート番号付きでアクセスしている場合も「localhost」を指定します。)
6項目目、withSecure()
HTTPS接続のときのみ Cookieを扱うようにするか、しないか、を指定します。
デフォルトは「false」で、HTTPでも Cookieを利用できますが、「true」にするとセキュアな HTTPSでアクセスした場合のみ Cookieの生成、アクセスが可能になります。
7項目目、withHttpOnly()
HTTPによるアクセスのときのみアクセスができるようにするか、しないか、を指定します。
デフォルトは「false」です。「true」にすると JavaScriptから Cookieにはアクセスできなくなります。
Cookieに保存した値を取り出す方法
Cookieに保存した値を取り出す場合は、下記のように「getCookie()」を使います。
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$cookieData = $this->request->getCookie("key"); echo $cookieData; |
Cookieを保存する場合は「response」ですが、値を取り出す場合は「response」ではなく「request」です。
「$_SERVER」を利用して確認する方法
デバッグ時など、Cookieに保存されている情報を確認したい場合は、下記の通り「$_SERVER」を利用する方法もあります。
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print_r($_SERVER["HTTP_COOKIE"]); |
「$_COOKIE」を利用して確認する方法
デバッグ時など、Cookieに保存されている情報を確認したい場合は、下記の通り「$_COOKIE」を利用する方法もあります。
1 |
print_r($_COOKIE); |
「response」で保存した設定情報を含めて確認する方法
下記のように、Cookieを保存したあとであれば「response」でも保存した情報を確認することはできます。
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$this->response = $this->response->withCookie(new Cookie("key","value"); $cookieData = $this->response->getCookie("key"); print_r($cookieData); |
Cookieを削除する方法
Cookieを削除する(保存してある Cookieを破棄する)場合は、下記の通り「withExpiredCookie()」を使用します。
1 |
$this->response = $this->response->withExpiredCookie(new Cookie("key")); |
また、すでに解説したように、Cookieを削除する方法として、Cookieを設定の記述で「withValue()」の項目を記述しない、「withExpiry()」の日時を過去日にする、といった方法もあります。
Cookieの仕様を改めて思い出す
Cookieの仕様として当たり前といえば当たり前なのですが、
・1回目の処理で Cookieを保存する
・2回目の処理で Cookieを取り出す
という処理になります。
なので、1回目のアクセスで Cookieに値を保存します。
そして、2回目のアクセスで Cookieに保存した値を取り出します。
そのため、Cookieに保存した値を取り出すにはプログラムを 2回実行する必要があります。(1回のアクセスでは、Cookieに保存して、その値を取り出すことは出来ません。)
最初、これを忘れていて「あれ??」とちょっと混乱してしまったこともありましたので、改めて Cookieの仕様を思い出しておくといいかもしれません。
CakePHP3の Cookieに関する参考記事
CakePHP3 Cookbook クッキー
https://book.cakephp.org/3.0/ja/controllers/components/cookie.html
CakePHP3 Cookbook リクエストとレスポンスオブジェクト・クッキー
https://book.cakephp.org/3.0/ja/controllers/request-response.html#request-cookies
https://book.cakephp.org/3.0/ja/controllers/request-response.html#id25
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