CakePHP4 でコマンドプログラム(シェルプログラム)を作成する方法解説
2024/06/21
CakePHP4でコマンドプログラムを作成する
CakePHP4にもコマンドプログラムが用意されている
CakePHP4では、画面で見る処理だけではなく、コマンドラインからコマンドを入力して実行する処理も用意されています。
cronを使って定期的に自動処理を実行したい場合などに便利です。
CakePHP4でコマンドの処理を作成する方法を 4記事にわたって紹介します。
今回はその 1回目で、コマンドプロジェクトを作成する基本を解説します。
- CakePHP4 でコマンドプログラム(シェルプログラム)を作成する方法解説
- CakePHP4 のコマンドプログラムからコンポーネントを読み込む方法解説
- CakePHP4で複数の引数(パラメータ)を付与してコマンドを実行する方法
- Windows上のXAMPP環境のCakePHPのコマンド実行時に環境変数を指定する方法
CakePHP3.6以降はシェル(Shell)は非推奨に
ちなみに、この記事の最後に書いていますが、CakePHP3.6以降はシェル(Shell)は非推奨となり、コマンド(Command)を利用することとなりました。
そのため、この記事では「コマンド」についての内容になります。(シェルについては検証していません。)
Bakeコマンドを実行しコマンドプログラムのテンプレートを生成
まず初めに、下記のコマンドを実行し、コマンドプログラムのテンプレートを生成します。
1 |
$ bin/cake bake command hello |
コマンドを実行すると下記の 2ファイルが生成されます。
/src/Command/HelloCommand.php
/tests/TestCase\Command/HelloCommandTest.php
このうち、コマンドプログラムである「/src/Command/HelloCommand.php
」を使用していきます。
コマンドプログラム「HelloCommand.php」の中身
/src/Command/HelloCommand.php
の中身は下記のようになっています。
必要最低限の内容になっています。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 |
<?php declare(strict_types=1); namespace App\Command; use Cake\Command\Command; use Cake\Console\Arguments; use Cake\Console\ConsoleIo; use Cake\Console\ConsoleOptionParser; /** * Hello command. */ class HelloCommand extends Command { /** * Hook method for defining this command's option parser. * * @see https://book.cakephp.org/4/en/console-commands/commands.html#defining-arguments-and-options * @param \Cake\Console\ConsoleOptionParser $parser The parser to be defined * @return \Cake\Console\ConsoleOptionParser The built parser. */ public function buildOptionParser(ConsoleOptionParser $parser): ConsoleOptionParser { $parser = parent::buildOptionParser($parser); return $parser; } /** * Implement this method with your command's logic. * * @param \Cake\Console\Arguments $args The command arguments. * @param \Cake\Console\ConsoleIo $io The console io * @return null|void|int The exit code or null for success */ public function execute(Arguments $args, ConsoleIo $io) { } } |
「buildOptionParser()」は引数(パラメータ)の付与時に使用
「buildOptionParser()」は、コマンドに引数(パラメータ)を付与して実行する際に、引数を受け取る処理に使用します。
次々回の下記の記事で紹介していますので、そちらを参照してください。
CakePHP4で複数の引数(パラメータ)を付与してコマンドを実行する方法
コマンドプログラムの本体は「execute()」メソッド内に記述
コマンドプログラムを実行すると「execute()」メソッドの中の処理が実行されますので、この中に処理を記述していきます。
「execute()」メソッド内に処理を記述
定番の「Hello world.」を表示する処理を「execute()」内に記述します。
1 2 3 4 |
public function execute(Arguments $args, ConsoleIo $io) { $io->out('Hello world.'); } |
「HelloCommand」のプログラムを実行
コマンドプログラムを実行するコマンドは下記になります。
1 |
$ bin/cake hello |
「Hello world.」とコンソール画面に表示されれば成功です。
「$io->out()」以外に「print_r()」「echo」も使える
ちなみに、規約上は「$io->out()」で画面に出力処理を行いますが、「print_r()」「echo」でも画面表示できますので、デバッグの時などはこれらを使うのもありかと思います。
1 2 3 4 5 6 |
public function execute(Arguments $args, ConsoleIo $io) { $io->out('Hello world.'); print_r("Hello world. \n"); echo "Hello world. \n"; } |
複数の単語からなるコマンドプログラムの場合の記述方法
今回は「HelloCommand.php」ですが、複数の単語からなるコマンドの場合は下記のようになります。
先ほどと同じように bakeコマンドを利用して、コマンドプログラムのテンプレートファイルを生成します。
1 |
$ bin/cake bake command SayHello |
「SayHelloCommand.php」と言うコマンドファイルが作成されます。
このファイルを実行する際のコマンドは、下記の記述(キャメルケース・camelCase)が、規約上の正解なのだろうと思います。
1 |
$ bin/cake sayHello |
Cookbookの記事内では、「HelloCommand.php」の時に「bin/cake hello」となっていましたので、コマンドで実行する際の記述は 1単語目の 1文字目は小文字が規約上の正解なのだろうと思います。
ただ、下記でも動作します。
1 |
$ bin/cake SayHello |
コマンドのファイル名も Class名も「SayHello」と「S」は大文字(パスカルケース・PascalCase)となっていますので、こちらの方が正しいのではないか、とすら思います。
キャメルケース、パスカルケース、スネークケース、ケバブケースのコマンドでの動作確認
ということで、規約上はキャメルケースで記述することが正しいであろうと思われますが、パスカルケースやスネークケース、ケバブケースなどの記述方法でコマンドとして認識されるのか、実験をしてみました。
ちょっと意外な感じがする結果もありますが、以下の通りの結果となりました。
コマンドとして実行される記述方法
1 2 3 4 5 6 7 8 |
$ bin/cake sayHello OK $ bin/cake SayHello OK $ bin/cake Say-hello OK $ bin/cake Say_hello OK $ bin/cake say-hello OK $ bin/cake say_hello OK |
コマンドとして認識されない記述方法
1 2 3 4 5 6 7 |
$ bin/cake sayhello NG $ bin/cake Say-Hello NG $ bin/cake Say_Hello NG $ bin/cake say-Hello NG $ bin/cake say_Hello NG |
参考サイトとしては、下記の Cookbookとなります。
https://book.cakephp.org/4/ja/console-commands/commands.html
CakePHP3.6 以降、シェルは非推奨になった
CakePHP3.6 以降、シェルは非推奨となりました。
https://book.cakephp.org/2/ja/console-and-shells.html
https://book.cakephp.org/3/ja/console-and-shells.html
https://book.cakephp.org/4/ja/console-commands/shells.html
CakePHP2のころは「/app/Console/Command」フォルダ内に「HelloShell.php」と言うファイル名でシェルと言うプログラムを作成していました。
CakePHP3では、「src/Shell」にはシェル「HelloShell.php」を作成し、「src/Command」にはコマンド「HelloCommand.php」を作成する仕様になりました。
そして、CakePHP3.6で「シェル」の方が非推奨となりました。
シェルは、非推奨ながら CakePHP5までは削除されないようですが、CakePHP4、CakePHP5で作成するならば、コマンドで実装するべきものでしょう。
諸行無常と言うか、栄枯盛衰と言うか、フレームワークの機能も改廃が進んでいきますね。
CakePHP4の関連記事
CakePHP4系でJSONレスポンスの処理ではwithStringBodyを使う。3との違い解説CakePHP4、CakePHP5の「warning: DebugKit is disabling...」の対処方法
MySQL+CakePHPのdate型、datetime型項目は「2999-12-31」までしか扱えない
CakePHP4のFrozenDateで1ヵ月前、先月、今月1日、来月末の日付などを算出する方法
CakePHP4のcake cache clear_allでPermission deniedはパーミッションの変更が必要
CakePHP4のクリエビルダーを使用してOR条件をAND条件でつなぐSQL文を作る方法
CakePHP4のController内でViewテンプレート、レイアウトの変更設定を記述する方法
CakePHP4から外部のデータベースにアクセスする方法解説
CakePHP4の数値項目は「like %10%」の部分一致検索(find select)はできない
CakePHP4でロギングスコープやログレベルを使用してログを出し分ける方法を解説
その他の「CakePHP4」に関する記事一覧
GoogleAdwords
GoogleAdwords
この記事が参考になったと思いましたらソーシャルメディアで共有していただけると嬉しいです!
関連記事
-
-
CakePHP 2.3でOn Duplicate Key構文を実装
CakePHPで On Duplicate Key構文を Queryを利用して実装する方法をサンプルソース付きで解説します。
-
-
CakePHP3でアソシエーション先のカラムでデータをソートして取得したい
アソシエーション先のテーブルのカラムをキーにソートをしたデータを取得したい!ときの記述方法を解説。「orderAsc()」ではなく「contain()」の中にSort条件を記述する。
-
-
CakePHP4で複数の引数(パラメータ)を付与してコマンドを実行する方法
CakePHP4でコマンドを実行する際に引数(パラメータ)をコマンド内で受け取る処理について解説。複数個の引数にも対応する記述方法も解説。
-
-
CakePHP 2.3でファイルのアップロード処理を作る
CakePHPでプラグインを使わないファイルアップロード処理を解説します。簡単です。DBにファイルを格納する方法も。
-
-
CakePHP3のInsert On Duplicate Key Update(upsert)構文を解説・バルク処理も
CakePHP3で Insert … On Duplicate Key Update構文(upsert)を実行する方法を解説。バルク処理の方法も用意されているため大量処理の場合も対応可能。
-
-
CakePHP4のユーザ管理・ログイン認証プラグインCakeDC/Usersのインストール解説
CakePHP4のユーザ管理プラグイン Usersは、ユーザ登録、メール認証、ログイン認証、ユーザ管理、権限管理、reCAPTCHAなど会員制のサイトを簡単に実現可能。その導入方法、カスタマイズ方法を解説。
-
-
CakePHP 2.3 ID以外のカラムでアソシエーション(連携)をさせる場合の詳細ページの注意点
ID以外のカラムでアソシエーション(連携)させて詳細ページを表示させる際の考え方と注意点をサンプルソースを用いて解説しています。
-
-
CakePHP3でcomposerを利用してライブラリ・プラグインをインストールする方法
CakePHP3でcomposerを使ってパッケージ(ライブラリ、プラグイン)をインストールする方法の解説。PHPを使うのはCakePHP3が初めてというような方への使い方から解説。
-
-
CakePHP3で他のテーブルのマスタテーブルからセレクトボックス(プルダウンリスト)を作る
他のテーブルのマスタのレコードからプルダウンリストを作成し、選択できるようにするサンプルプログラムと解説。ORMの設定によりデータベースの値を取得し、配列を作成し optionsに与える。
-
-
CakePHP3のデバッグキット(DebugKit)を強制的に有効、無効に変更する方法
CakePHP3に付属しているデバッグのためのツール、デバッグキットを強制的に有効化、無効化する方法を解説。初期設定では開発環境としてありそうなドメインの場合のみ有効になるように設定されている。