エス技研

WordPress、CakePHP、PHP、baserCMSなどの Web系システムを中心に情報を提供します!


CakePHP3のアソシエーションでJOINのタイプのLEFT、INNERを切り替えながら使う方法

      2023/12/28

Tableファイルで INNERが指定してあるアソシエーションのデータを LEFTでの取得を Controller側で指定する方法

 
 
この記事は、CakePHP3 向けに書いた記事ですが、CakePHP4でも同じ記述方法をそのまま利用することができます。
 
 

想定している環境について

 
まず、想定しているテーブルは以下のものです。
 
ユーザ管理、ログイン認証のプラグインである「CakeDC/Users」を使う際に作成するテーブルが「Users」です。
また、ユーザ情報として、ユーザ名や住所、電話番号と言った情報を追加で登録、管理する想定ですが、プラグインで生成される「Users」テーブルには手を付けず、1対1でアソシエーションする「UserDetails」テーブルを作成する仕様を想定しています。
 

 
 
また、この記事の説明は、テーブルのアソシエーションに関連する説明になっています。
そのため、実際に「CakeDC/Users」を利用して動作検証をしようとする場合は、下記の「CakeDC/Users」に関連する記事を確認してください。
 
CakePHP3のユーザ管理・ログイン認証プラグインCakeDC/Usersのインストール解説・3.6以降対応
CakePHP3のCakeDC/Usersのログイン後のリダイレクトとユーザ権限管理の設定解説
CakePHP3のCakeDC/Usersのバリデーションのカスタマイズ方法解説
 
特に、デフォルトだと、UsersTableファイルは「/vendor/cakedc/users/src/Model/Table/UsersTable.php」にあります。
ですが、コアファイルは触らずに、「/src/Model/Table/UsersTabble.php」にファイルを設置し、コアファイルの処理をオーバーライドさせています。
 
 

UsersTabble.phpにアソシエーションの設定をする

 
UserDetailsテーブルを Bakeすると、「/src/Model/Table/UserDetailsTabble.php」の「initialize」には下記のようになっていると思います。
 

 
これだけだと、UserDetails側からアソシエーションの設定を利用して Usersのデータを取得することはできますが、Users側からは UserDetailsのデータを取得することはできません。
 
そのため、Usersの tableファイル「/src/Model/Table/UsersTabble.php」に下記を追記します。

 
「joinType」に「INNER」を指定していますが、指定がない場合はデフォルトとして「LEFT」になります。
 
 
「LEFT」と「INNER」の違いは、Usersに連結させる UserDetailsのテーブルがないときの対応の違いです。
 
「LEFT」の場合は、UserDetailsの部分を NULLが入っているものとして取得します。
「INNER」の場合は、UserDetailsにレコードがある Usesのみ取得します。
 
 


 
 

Usersから contain句を利用してレコードを取得

 
上記のように Tableファイルの設定をしている場合、Usersテーブルから値を取得する場合は、コントローラーには下記のように記述します。
 

 
Tableファイルには INNERでアソシエーションしていますので、UserDetailsにレコードがない場合は、Usersのレコードも取得されません。
 
 
ユーザ情報を一覧表示するようなシステムの場合、必要となるのは、UserDetailsテーブルに情報が登録されているレコードですので、INNERでアソシエーションされている方がいいでしょう。
 
 
ですが、管理画面でユーザ情報を管理する場合は、UsersDetailsにレコードがない Usersのレコードも取得する必要があります。
 
そのため、管理画面では INNERでアソシエーションするのではなく、LEFTでアソシエーションした情報を取得する必要があります。
 
どうやって INNERと LEFTを切り替えればいいのでしょうか?
 
前振りが長くなりましたが、ここが今回の記事のポイントです。
 
 

Controllerで「leftJoinWith()」「innerJoinWith()」を指定する

 
結論は、下記のように「leftJoinWith()」句を使います。
 

 
上記の通り「leftJoinWith()」句を使うことで、UsersTableでは「INNER」が指定してあっても「LEFT」でデータを取得してくることができるようになります。
 
 
ここで紹介した方法と逆に、UsersTableの方で「LEFT」を指定し、レコードを取得する際に「innerJoinWith()」を使う、という方法もあります。
 

 
また、そもそも、UsersTableの方で「LEFT」を指定し、「where()」句で「user_id is not null」で「UserDetails」のレコードがないものを省く方法もあります。
 
 
「leftJoinWith()」「innerJoinWith()」や「is not null」でレコードを取得する場合は、いずれの場合においても、UsersTabble.php に hasOneなどのアソシエーションの設定がないとエラーになります。
 
 

Tableファイルではなく Controllerファイルでアソシエーションの設定を行う方法

 
基本的には Tableファイルでアソシエーションの設定を行うものですが、Tableファイルにアソシエーションの設定がなくても、Controllerファイルでテーブルの連携の設定を行うこともできます。
 

 
ここでの注意点は、テーブル名は Modelで管理しているテーブル名(UserDetails)ではなく、実テーブル名である「user_details」を使う点です。
 
 
詳細は、下記の Cookbookを参照してください。
 
CakePHP3 Cookbook クリエービルダー
https://book.cakephp.org/3.0/ja/orm/query-builder.html#join
 
 

CakePHP3では Tableでアソシエーションを指定するべきもの?

 
ちなみに、この記述方法は、CakePHP3では望ましい書き方ではないのではないか、という感じがします。
 
CakePHP2の頃までは「Recursive」「ContainableBehavior」を使ってアソシエーションのテーブルのデータをコントロールしていたようですが、CakePHP3では「Recursive」「ContainableBehavior」は削除されています。
https://book.cakephp.org/3.0/ja/appendices/orm-migration.html#recursive-containablebehavior
 
CakePHP3では、アソシエーションしたどのテーブルのデータを取得するかは、「contain」で指定するようになりました、というお話ですが、Tableファイルにアソシエーションを設定し、contain句を使って必要なデータを指定すれば、余計なデータを取得して処理が重くなるということも防げるのではないか、と思います。
 
 

「join()」でアソシエーションした先のテーブルの情報を取得する方法 2023.12.28追記

 
また、「join()」でアソシエーションした先のテーブルの情報を取得する場合は、下記のように記述をします。
 

 
「Users」のテーブルのカラムは「->select($this->Users)」の 1行でまとめて取得することが可能なのですが、アソシエーション先のカラムは「->select(["users_details.id",....」のように取得するカラムを一つずつ指定する必要があるようです。
 
※いろいろ試してみましたが、「->select($this->Users)」のようにテーブルのカラムをまとめて取得する方法を見つけることができませんでした。分かる方、教えてください!
 
ただ、ここまでして controller内でアソシエーションの設定をする必要性があるのか、疑問に感じます。
素直に Model内で設定する方が簡単だと思います。
 
 
CakePHP4 Cookbook クリエービルダー
https://book.cakephp.org/4/ja/orm/query-builder.html#join
 
 

CakePHP3の関連記事

CakePHP4のCSS、JavaScript、画像のブラウザへのキャッシュをコントロールする
CakePHP3でレコードを保存(追加、更新、Insert、Update)する複数の方法を紹介
CakePHP3でモデルなしフォームからCSVをアップロードしレコードを更新する方法解説
CakePHP3でPHP Simple HTML DOM Parserを使ってスクレイピングする方法
CakePHP3のInsert On Duplicate Key Update(upsert)構文を解説・バルク処理も
CakePHP3の1対多での連携を中間テーブルを使った多対多の連携に変更するときの手順
CakePHP3でデフォルトのソート条件を設定してユーザの選択肢たソート条件を有効にする方法
CakePHP3で Ajaxを使う方法の解説。3.6以降対応。Successとthenの両方を解説。
CakePHP3でパンくずの指定は HTMLヘルパーを使って指定する方法を解説
CakePHP3にOGPをfetch、asignを利用してテンプレートごとに指定する方法を解説
 
その他の「CakePHP3」に関する記事一覧
 
 

 - CakePHP 3.x 4.x

GoogleAdwords

GoogleAdwords

最後までお読みいただきましてありがとうございます。
この記事が参考になったと思いましたらソーシャルメディアで共有していただけると嬉しいです!

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

下記の空欄を埋めてください。 * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

※入力いただいたコメントは管理者の承認後に掲載されます。

  関連記事

CakePHP3のルーティング(routes.php)の変更が反映されない時はキャッシュのクリアを
CakePHP3のルーティング(routes.php)の変更が反映されない時はキャッシュのクリアを

CakePHP3でルーティングの設定変更をしたけど反映されない!そんなときは慌てず騒がずキャッシュをクリアしよう!ルーティングの設定もキャッシュされることがあるらしい。

CakePHP4で現在処理しているコントローラー名、アクション名を取得する方法
CakePHP4で現在処理しているコントローラー名、アクション名を取得する方法

CakePHP3で現在処理しているコントローラー名、アクション名を取得する方法を解説。複数の方法があるが、getParam()メソッドを使う方法が汎用性があって便利かも。

CakePHP3のCakeDC/Users、Authでログインなしでもアクセスを許可する設定
CakePHP3のCakeDC/Users、Authでログインなしでもアクセスを許可する設定

CakePHP3の Authコンポーネントや CakeDC/Usersプラグインなどを利用したユーザ管理・認証システムにおいて、ログインしていなくても見ることができるページの設定方法を解説。

CakePHP4のCSS、JavaScript、画像のブラウザへのキャッシュをコントロールする
CakePHP4のCSS、JavaScript、画像のブラウザへのキャッシュをコントロールする

CakePHP4、CakePHP3でブラウザにキャッシュさせる設定の解説。CSS、JavaScript、画像をブラウザにキャッシュさせるのか、定期的にリロードする設定にするのかの設定が可能。

CakePHP 2.3 デバッグキット(DebugKit)超初心者向けフォロー講座

CakePHP初心者に向けてデバッグキット(DebugKit)のインストール方法、はまりポイントを解説。

CakePHP 2.3 Search Pluginで検索処理 その2表示件数を動的に変える方法

CakePHPの検索プラグイン Search Pluginの検索処理の中で動的に表示件数を変える方法です。

CakePHP 2.3 テーブルの項目を演算した結果を条件として抽出する方法

アソシエーション(連携)している先のテーブルの項目で演算をする場合の考え方と注意点をサンプルソースを用いて説明しています。分かってしまえば簡単です。

CakePHP4のフラッシュメッセージの表示場所、デザインを変更する方法を解説
CakePHP4のフラッシュメッセージの表示場所、デザインを変更する方法を解説

CakePHP4のエラーメッセージ、完了メッセージなどを表示するフラッシュ処理の解説。Controller、レイアウトファイル、テンプレートファイルでそれぞれ処理を指定する。

CakePHP3で環境変数を設定して本番環境と開発環境を分けて処理をする場合
CakePHP3で環境変数を設定して本番環境と開発環境を分けて処理をする場合

CakePHP3で開発環境と本番環境とで違う設定ファイルを読み込ませて環境ごとに定数を切り替える方法を解説。Apacheのhttpd.confに環境変数を設定し、それを読み込み判別する。

CakePHP3のcontroller内でテンプレート、レイアウトを変更する際の指定方法

CakePHP3でテンプレートファイルやレイアウトファイルをデフォルトのものから別のものに変更したい場合の指定方法を解説。