CakePHP3で生の SQLの実行はConnectionManagerを使う
2019/03/02
CakePHP3でクリエビルダーを使わず生の SQL文を実行する方法を解説
CakePHP3で生の SQL文を実行する方法を解説
CakePHP3で直接 SQL文を実行する方法を解説します。
【参考サイト】CookBook データベースの基本
https://book.cakephp.org/3.0/ja/orm/database-basics.html
CakePHP3において、直接 SQL文を実行する方法は、上記の CakePHP3の Cookbookにも書いてあるのですが、非常に簡単で、データベースにアクセスする方法としては基本形のようです。
ただ、CakePHP3のようなフレームワークを使う理由は、SQL文を作成しなくても簡単にデータベースにアクセスできるから、といったこともあるワケですが、より簡単にアクセスするには、クエリービルダーを利用します。
【参考サイト】CookBook クエリービルダー
https://book.cakephp.org/3.0/ja/orm/database-basics.html
今回の記事は、クエリービルダーでは対応できないデータベースへのアクセスを、SQL文を作成して対応する方法を解説します。
CakePHP3で生の SQL文を実行する方法・基本形
生の SQL文を実行する方法は、以下のようになります。
1 2 3 4 |
use Cake\Datasource\ConnectionManager; $connection = ConnectionManager::get('default'); $results = $connection->execute('SELECT * FROM articles')->fetchAll('assoc'); |
クリエービルダーを使ってデータベースにアクセスするときは「use Cake\ORM\TableRegistry;
」を使いますが、生の SQL文を実行するときは「use Cake\Datasource\ConnectionManager;
」を記述します。
「ConnectionManager::get('default');
」の「default」は、データベース名、テーブル名などではないことには注意が必要です。
この「default」は、データベースの接続設定です。
「/config/app.php」にデータベースに関する設定項目として「Datasources」があり、その中で「default」「test」の設定を記述しているかと思います。
この「default」を使います、という指定です。
逆に言うと、1つの処理の流れの中で、「default」で設定しているデータベースではないデータベースに接続して処理をしたい場合には、「default」とは違うデータベースへの接続設定を作成し、この「ConnectionManager」を利用して接続できます。
CakePHP3で生の SQL文を実行する方法・INSERT文、UPDATE文、DELETE文
前項で紹介したのは SELECT文ですが、INSERT文、UPDATE文、DELETE文でも同じです。
INSERT文の場合は下記の様になります。
1 2 3 4 |
use Cake\Datasource\ConnectionManager; $connection = ConnectionManager::get('default'); $connection->execute('INSERT INTO articles (col_1, col_2, col_3) value ("aaa", "bbb", "ccc")'); |
上記と同じように SQL文を UPDATE文、DELETE文に変えることでその処理を実行することができます。
CakePHP3で生の SQL文を実行する方法・プリペアードステートメントを利用する方法
続いて、プリペアードステートメントを使って SQL文の処理を行う場合の解説を行います。
前項で解説した、INSERT文をプリペアードステートメントを用いて書き直すと下記の様になります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 |
use Cake\Datasource\ConnectionManager; $connection = ConnectionManager::get('default'); // INSERTの SQL文を生成 $insertSql = 'INSERT INTO articles (col_1, col_2, col_3) value (?, ?, ?)'; // INSERTする値を配列として作成 $insertArray = ["aaa", "bbb", "ccc"]; // SQL文の実行 $connection->execute($insertSql, $insertArray); |
上記のソース中にコメントを書いていますので問題ないかと思いますが、SQL文と値となる配列を別々に作成し、「$connection->execute()
」の引数として記述するだけです。
CakePHP3で Insert On Duplicate Key Update構文を利用する
今回、私が生の SQL文を実行する必要があった理由は、Insert On Duplicate Key Update構文を使用するためでした。
CakePHP3ではクリエビルダーを使って Insert On Duplicate Key Update構文を実行する方法が分からず、生の SQL文を書いて Insert On Duplicate Key Update構文を実行しようとしたため、今回の生の SQL文を実行する方法が必要でした。
Insert On Duplicate Key Update構文を、プリペアードステートメントを利用して実行しようとすると、下記の様になります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 |
use Cake\Datasource\ConnectionManager; // INSERTの SQL文を生成 $insertSql = 'INSERT INTO articles (col_1, col_2, col_3) value (?, ?, ?) ON DUPLICATE KEY UPDATE col_1 = ?,col_2 = ?,col_3 = ?'; // INSERTする値を配列として作成 $insertArray = ["aaa", "bbb", "ccc", "aaa", "bbb", "ccc"]; // SQL文の実行 $connection->execute($insertSql, $insertArray); |
CakePHP2で開発しているときも同じ必要性があったのですが、その時も生の SQL文を実行する方法で対処しています。
その時に書いた記事が下記にあります。
Insert On Duplicate Key Update構文の使い方
CakePHP 2.3でOn Duplicate Key構文を実装
SQL文を実行したときのエラーログを取得する方法
今回の記事の趣旨とは違いますが、CakePHP3で SQL文を実行してエラーになったとき、どのようなエラーなのかを確認するため、エラーログを取得する場合は下記のような記述を行います。
1 2 3 4 5 6 |
try { $tableObjectConnection->execute($insertSql); } catch (\Cake\ORM\Exception\PersistenceFailedException $e) { echo $e; echo $e->getEntity(); } |
詳しい使い方は「CakePHP3でデータを保存する save()で発生するエラーを確認する方法を解説」に記事を書いていますので、そちらも参照してください。
CakePHP3の関連記事
CakePHP4のCSS、JavaScript、画像のブラウザへのキャッシュをコントロールするCakePHP3でレコードを保存(追加、更新、Insert、Update)する複数の方法を紹介
CakePHP3でモデルなしフォームからCSVをアップロードしレコードを更新する方法解説
CakePHP3でPHP Simple HTML DOM Parserを使ってスクレイピングする方法
CakePHP3のInsert On Duplicate Key Update(upsert)構文を解説・バルク処理も
CakePHP3の1対多での連携を中間テーブルを使った多対多の連携に変更するときの手順
CakePHP3でデフォルトのソート条件を設定してユーザの選択肢たソート条件を有効にする方法
CakePHP3で Ajaxを使う方法の解説。3.6以降対応。Successとthenの両方を解説。
CakePHP3でパンくずの指定は HTMLヘルパーを使って指定する方法を解説
CakePHP3にOGPをfetch、asignを利用してテンプレートごとに指定する方法を解説
その他の「CakePHP3」に関する記事一覧
GoogleAdwords
GoogleAdwords
この記事が参考になったと思いましたらソーシャルメディアで共有していただけると嬉しいです!
関連記事
-
-
CakePHP3でページごとに読み込むJavaScript、CSSを変える処理の解説
CakePHP3でJavaScriptやCSSを編集する基本形から、それらやテンプレート(エレメント)を特定のテンプレートを読み込んだときのみ編集、実行するための方法、ブロック化について解説。
-
-
CakePHP3のInsert On Duplicate Key Update(upsert)構文を解説・バルク処理も
CakePHP3で Insert … On Duplicate Key Update構文(upsert)を実行する方法を解説。バルク処理の方法も用意されているため大量処理の場合も対応可能。
-
-
CakePHP3、CakePHP4のバージョンを指定してインストールする詳細な手順を解説
CakePHP3のバージョンを指定してインストールする方法を詳細解説。CakePHP3のインストールはComposerを使うため設定もほぼ自動で完了。データベースの接続情報を記載すればアプリ開発のベースが整う。
-
-
CakePHP 2.3 Search Pluginで検索処理 その1設置方法
CakePHPの検索プラグイン Search Pluginの設置方法と基本的な検索処理の解説です。
-
-
CakePHP3のfriendsofcake/searchでブックマークチュートリアルのタグ検索を実装
CakePHP3のCookbookにあるブックマークチュートリアル。ここで紹介されているタグで検索する処理を検索プラグイン「friendsofcake/search」で実現する方法を解説しました。
-
-
CakePHP3で Ajaxを使う方法の解説。3.6以降対応。Successとthenの両方を解説。
CakePHP3でajaxを利用する処理の実装方法を解説。プルダウンを変更するとデータベースの値を取得し検索結果の内容を変更するというような処理を想定。CakePHP3.6以降の CSRF対策対応済。
-
-
CakePHP 2.3 Search Pluginで検索処理 その6ORDER、sortソートの機能
CakePHPの検索プラグイン Search Pluginの検索処理の中で order、ソートについての解説です。
-
-
CakePHP4で「app_local.php」「.env」を利用して環境ごとの定数を振り分ける方法
CakePHP4で.env、app_local.phpに定数を定義してそれを呼び出す方法の解説。Gitでは管理せず本番環境と開発環境とで異なる定数を定義するためそれを利用する方法。
-
-
CakePHPのバリデーションを入力値・項目の条件によって変える方法を解説
入力された値によってバリデーション(入力チェック)の内容を切り替える。その処理をCakePHPで実装する方法を解説。条件ごとに unset関数を使ってバリデーションを削除する、という方法を採る。
-
-
CakePHP3のfriendsofcake/searchでツリーカテゴリーの子階層も含めて検索する方法
CakePHP3のツリービヘイビアを使ったツリーカテゴリーの子階層も含めての検索を検索プラグイン「friendsofcake/search」を使って実現する方法を解説しました。